「ちゃんと目瞑ってるか?」


「はい。瞑ってます!」


「先生、隼人達は?声が聞こえないけど…。」


「あいつ等なら神崎が木下をおんぶして走って行ったよ。」


 ……やっぱり置いて行かれた…。

 美憂達は…本当に薄情なんだから…!


「俺は、菜々と2人だから嬉しいけど。菜々は嬉しくないのか?」



「…先生、恥ずかしくないんですか?あたしは言葉にするの恥ずかしいです…」


 目、瞑ってるせいか、素直に思ってる事を言えた。


「うーん。恥ずかしいって言ったら恥ずかしいな。でも、言葉にしなきゃ伝わらない事もあるだろ!」



「先生は、やっぱり大人ですね!なんか羨ましい。」



「菜々には、俺が色んな事、伝えてやる。少しずつお互いの事、知っていけば良いんだよ。」


 きっと、最初から相手の全てを知る事って無理だと思う。段階を重ねて自分たちのペースで知っていけば良いんだよね。