ガラッとドアが開いて母さんと医者が入ってきた。
「あ、洸起きたのね。」
目を真っ赤にして母さんが言う。
ドクン、と心臓がなる。
嫌な予感しかしなかった。
先生が俺の隣に座る。
「洸くん、よく聞いて。ガンがね、肺に転移してたんだ。」
……………………
………は……?
「ははっ、なんの冗談っすか先生。やめてくださいよ。」
ちがう、冗談なんかじゃないって分かってるのに、
認めたくないんだよっ…。
「冗談なんかじゃない。君は…」
「俺はっ…!…死ぬんですか…?」
怖い、この質問の答えを聞くのがー。
「ああ。もって、1年だ。」
ははっ、なんだよそれ。
俺、病気に勝ったじゃねえかよ。
なんでまた、なんでっ…。
「すんません。」
そう言って病室を出た。
俺、死ぬのか…。
頭に出てくるのは椎乃の顔だった。
椎乃には何て言えばいいんだよ…。
1年…か。
来年のクリスマス、一緒に過ごすこと出来んのかな?
怖い。
死ぬのが…
椎乃と過ごせなくなる事が…
「怖いんだよっ…」
〜洸side end〜
コンコンーー
「洸ー…?」
洸のいる病室の扉をあける。
「あ、椎乃ちゃんっ…!」
中には洸のお母さんしかいなかった。
「あの…洸は、?」
私がそう聞くと洸のお母さんは黙り込んだ。
…えっ…?
なんか、あったの…?
そう思うといてもたってもいられなくて、
私は病室を飛び出した。
洸がいそうなところ…
バンっー
屋上の扉を勢いよく開ける。
「椎乃…」
はぁっ…いた…。
洸のいるところまで走る。
「ふぅー…、どうしたの?」
息を整えて聞く。
怖い。
なんて答えが来るのか。
でも、聞かなきゃ。
私が洸を支えるんだから。
「ははっ…いや、なんでもねーよ。」
その言葉を聞いた瞬間、私の中で何かが切れた。
なんで、、いつもそうなの…?
「どうしてっ…言ってくれないのっ…?」
洸はいつもそう。
もうやだよ…。
そんなに…
「そんなに頼りなかったかなっ…?」
ボロボロと涙が溢れる。、
こんな事、言っちゃダメなのにーー
「ごめん、ごめんな…。」
何で謝るの…?
「そんな優しさ…いらないんだよっ…。」
私がそう言っても、洸は笑うだけ。
でもその笑顔には、
何の感情も表されてはいなかった…
「今日は、帰るね…。」
きっと、今の私じゃ、何もできない。
「ごめんね、洸。」
私はそう言って屋上を出た。
「うぅっ…。」
溢れてくる涙を止めるために目をゴシゴシとこする。
「…もう…何もわかんないよ…。」
どうすればいいの?
無力な私に、何ができるんだろう…。
「今日も日向くん来てないって。いいの、?椎乃。」
あの日からもう、3日がたった。
あれ以来、洸とは会ってない。
「わかんない。ゆりちゃん、私どうすればいい?」
誰かに聞かないと…
私の中で答えはずっと出ないままになっちゃう。