その日、オレは新しい雑誌を買いにコンビニに行っていた。
「うわ~っ、雑誌、家に早く帰って、読みたいなぁ。」
先日の佑宇真がヤキモチを妬いてくれた時からニヤニヤ笑いが止まらない。
嬉しくてしょうがないのだ。
家の前まで来かけた時、ウチの玄関の前に佑宇真とせり姉が立ってるのが見えた。
(何で二人が一緒にいるんだよ。)
オレは妙な胸騒ぎを覚えて、サッと近くにあった電柱の影に身をひそめた。
「せりさんが結婚するのは聞きました。でも、その前に伝えたい事があって……。」
佑宇真は真剣な表情だ。
せり姉の顔は見えなかった。
オレはドキドキしながら、その光景を、ただ見てるしかなかった。
「ずっと……ずっと、せりさんが好きでした。」
佑宇真がせり姉に告白した。
オレは胸が張り裂ける思いで、その告白を聞いていた。
そして、あまりのショックに、静かにその場を離れた。

佑宇真が少しヤキモチを妬いてくれただけで、あんなに嬉しくなって……。
(オレってば、バカだよなぁ。)
分かってたはずじゃないか。
佑宇真の好きな人はせり姉だって……。
分かってたはずなのに、頭では理解してたはずなのに、何でこんなに涙が溢れ出てくるんだろう?
「うっ、ひっく……。」
河原に着いた時には、オレは、
「うわ~んっ!!」
膝をついて、号泣してしまっていた。
その様子を堤防の上から見ている人がいてることにも気づかずに……。