オレと魔裟斗、速水で話をした日。
やっぱり、魔裟斗と速水が『両想い』であると、オレは『確信』した。
それと同時に、オレと佑宇真が『両想い』であることも、魔裟斗と速水にバレてしまった。
(佑宇真に怒られるかな?)
オレは、そのことだけが気がかりだった。

「佑宇真、ゴメン……。オレと佑宇真が付き合ってるの、寧々と速水にバレちゃって……。」
オレが本当に済まなさそうにそう言うと、佑宇真は、
「そうかぁ……。」
ちょっと眉根を寄せて、呟くようにそう返事をした。
「怒ってるのか?」
オレがそう聞くと、佑宇真は、
「…怒ってはないよ。ただな……。」
「ただ……?何?」
オレは聞き返した。
(佑宇真は怒っていなかった……。)
それはよかったのだが、じゃあ、何で、いいよどんでるんだ?
「佑宇真?」
オレはもう一度、佑宇真を呼んだ。
「ん?…ああ……。」
佑宇真は、聞いていなかったかのような曖昧な返事をする。
そして、
「あのさ、お前、俺に何か、隠してることはないか?」
いきなり直球で聞いてきた。
「えっ!?」
オレはいきなり聞かれたので、固まってしまった。
だけど、それが俺の返事と受け取ったのか、佑宇真は、
「やっぱり、何か、隠してるんだな?」
そう悲しそうな顔で聞いてきた。
オレは、何とか誤魔化そうとしたが、佑宇真は聞き入れようとはしなかった。
そして、
「一体、俺に何を隠してるんだ?」
そう聞いてきた。
「それは……。」
オレはいいよどんでしまった。
『オレ』と『魔裟斗』が、『入れ替わっている』。
『真実』を話したら、佑宇真は、すぐに受け入れ、信じてくれるだろうか?
だが、オレは、そこで思ったのだ。
佑宇真は、そんな『いい加減なヤツ』じゃない。
今までだって、オレの話を真剣に、根気強く、聞いてきてくれたじゃないか。
例え、『記憶』が失ってても、そんな佑宇真の『基本的な性格』が変わったワケじゃないことは、一緒にいてて分かったし……。
オレは、そんな佑宇真を『信じられない』と思っていた自分が恥ずかしかった……。
佑宇真なら、きっと、オレたちのこの『秘密』を分かってくれる。
そんな気がした。
だから、
「佑宇真、いつか、オレが話せるようになったら、必ず話すから、その時まで待っててくれないか?」
そう言ったんだ。
すると、佑宇真は、
「…分かった。」
そう返事をしてくれたんだ。

きっと、いつか、佑宇真に話せるよな……。