ちょっとだけ悲しそうな顔をするルイ。
どうしたのか聞こうとすると、いつもの顔に戻った。
「あ、会議の時間だ。早紀さん、唯奈のこと頼んだよ」
「はい、わかりました」
「それじゃ、また後でね。すぐすませてくるから」
そういって私の額にキスを落とす。
私の顔はゆでダコ状態。
いつになってもこれだけは慣れない。
し、しかも…早紀さんの前で!
「早紀さんは行かなくていいんですか?毎回思ってたんですけど、秘書さんって、会議とかにも出席するんじゃ…」
「ご心配なさらずに。私は会議のあいだ、唯奈さんとお話することがお仕事なので」
「え!?そうだったんですか!?」
「ふふ、えぇ。だからてっきり、恋人同士なのかと思ったわ。どういうご関係なんですか?」
「えっと…1人で路頭に迷ってた私を拾ってくれた…恩人?」
「そうだったんですか。なら…お腹の子は…」
「……元夫の子なんです。私、浮気されちゃって。家を出た後にできてることがわかって…」
「あら…。でも、今は愛してくれる人がいるじゃないですか」
「え?」
「社長ですよ。この前言ってましたよ。唯奈さんは、僕にとって大切な人だって」