優しく体を揺すり、名前を呼ぶ。


「頼人、起きて。会社に遅れちゃうよ」


「ん……あぁ…」


ゆっくりと起き上がり、挨拶もなしに私の横を通り過ぎる。


顔を洗い、歯を磨き、スーツに着替えて玄関へ向かう頼人。


「よ、頼人…朝ご飯は??」


「……いらない。もう、作らなくていいから」



そういって家を出ていった。


扉の音が閉まる、寂しい音だけが部屋に響いた。