「そんなことされたら、押し倒すかもな」


緩みきった顔で答える。


そんな所を見られていたとは知らずに。


突然、ポケットにあった携帯が震えた。


会社の後輩からだ。


「もしもし。あぁ、それならもうパソコンに打ち込んで……はぁ!?お前、ふざけるな!!……わかった、すぐそっちに行く」


イライラしながら電話を切る。



「ごめん、会社もどる」


「何かあった?」


「打ち込む資料、間違ってた。後輩の手違い」


「大変じゃない!すぐ行きな!」


俺は来た道を走って戻った。


せっかく唯奈との記念日だったのに。


ちゃんと今日はプレゼントを渡して、謝ろうと思っていたのに。


やっと仕事を終えたのは12時前だった。


これじゃあ間に合わない。


俺の疲れもピークに達していた。