「……わかっていました!」


「え?」


「この前、一緒に歩いていた方ですよね。すごく…お似合いでした。私なんかより…断然。
頼人を…彼を幸せにしてあげてください。
私は妻らしいこと、何にもできなかった」


「お、奥様…?」


「もう…いいんです。充分、幸せでした。
幸せになって下さいね」


「ちょ、奥様…っ!!」


すぐに電話を切って、指輪とプレゼントを置いた。


そして、花瓶に一輪の紫のアネモネとネリネを飾って家を出た。


1通の手紙も添えて。


最後くらい、可愛いとこ見せてもいいでしょう?


「さようなら…頼人……」


もうきっと……会うこともないだろうね。