私とシエムの旅。

シエムとであって気づいたことは、

奴はとてつもなく鬼畜で腹黒で冷徹で。

良い所なんてひとつ探すだけでも苦労しそうな人間なのだという事。

けれど、意外に優しいところもあるということ。

そうそう、それからシエムは結構もてる。
行く先々で女に声をかけられているようだ。それもそうだろう。

サラサラな薄い金の髪の毛。青色の二重ではないが、一重の少し大きい目。
高い鼻。整った唇も揃っている。

まったく、天は二物も三物もあたえやがって。

と、恨めしそうにヤツを見上げた。

すると、不意にシエムがこちらを見てきて
こういった。

シ「お前…………たしか、別の世界から来たと言っていたな。」

「え、うん。そうだね。」
戸惑いながら返事をすると

シ「なら、この世界のことも知らないのか?」

そうきかれた。
「うん、全然知らない。」

教えてくれるのだろうか?

シ「まぁ、とりあえず、おおまかだが教えてやる。」

と、なんともまぁ上から目線で。

シ「この世界は、今俺達がいるムリカトーム王国と、隣のサナトビア皇国。
それから、色々とヤバイことしてるって噂の龍英帝国。この3つの国がある。」

「み、みっつぅ?!!!」

シ「なんだ?そんなに、不思議なのか?」

あたりまえだ。わたしのいた世界では
正式な国と見とめられているもので95カ国はあった。正式ではないけれど独立している国を入れたら107カ国は余裕にいく。

「わたしのいた世界では国の数は107カ国あった。」

シ「ひゃ、107!?!!!」

こんどはシエムがおどろくばんだ。

「うん。普通だったよ。国も言葉も文化も違うけどたくさんの国のいいとこも悪いところも子どもたちに教えて行くのがわたしの仕事だったから。」

シ「そんなにあったら大変だなぁ。戦争が起きてしまう。」

「そうだね。私の世界では、何前年にもわたって戦いが行われてきた。始は同じ国の中で。国がまとまると今度は国同士で。
そうやって多くの犠牲者を出して今は、
平和な未来を作るために国同士で手を握
り合ってけれど監視もしあって、そうやって成り立っている。」

シ「平和か。いいか、チトセ。この世界では3ヶ国が互いに睨み合って今でも戦争をしようとしている。お互いがお互いに何かを献上しあって今は少し落ち着いているが。
サナトビアはともかく一番危ないのは龍英帝国だ。さっき言ったが帝王がいて、そいつが国民をなんとも思わない冷酷なやつなんだ。けど、いま、龍英帝国が最も力を持っていることに変わりはない。」

「そ、そうなんだ。」

そんなこと言われてもぴんとこない。

シ「……………それからな、お前その髪隠せ。
危険だ。今はまだ少ない人たちにしか会っていないが、街へ出ると目立つ。」

目立つ?ただの黒髪が?

「これが、目立つの?なんで?」

疑問をいったらやつから帰ってきたのは

シ「はぁ。」
と言うためいきだった。

なんでよ!!

シ「お前は馬鹿か?いままで、お前が見た奴の中に黒髪のやつがいたか?
一人もいなかっただろ。」

たしかに、言われてみればそうだ。

シ「この国…………というか、かの世界には
黒髪の人間なんてほとんどいない。
だから、高値で売れるってんで、よく連れ去られたりするんだ。わかったか?」

そ、そうなのか。物騒だな。

「……え?じゃあ、なんでシエムは私を売らないの?」

単純な疑問を奴にぶつけてみたら、
すっごい目で睨まれた。

シ「俺はな、人間を人間とも思わない奴が大嫌いなんだよ。人を売るとか、頭がどーかしてるんじゃないのかと疑いたくなる」

そういうところは、しっかりしているみたいだ。

「私のいた世界でも、人を売ったり買ったりする、時代があったよ。 肌の色や、言葉…………自分とは何かが違うといって、
武器を使い、まるで、モノのように蹴飛ばして………………どこの、世界もおんなじなんだね。」

それっきし私達は黙ってしまった。

シ「俺は、そういう差別が無くなれば良いなと思うよ。」

沈黙を破ったのはシエムだった。