夜の森を走るというのは中々度胸がいるもので、何も見えない暗闇の中を走っていると急に目の前に木が現れたりしてとても危険なのだ。


しかし、目の前の男はすいすいと走っていく。きっと夜目が効くのだろう。

私もだんだん暗闇に慣れてきて夜目が効いてきた。

もともと、おばあちゃんに鍛えられていたから、目がなれるのにそんなに時間はいらない。


とゆうか、男はものすごいスピードで走っていく。

女の私がついて行けるのかと思うだろうが

私は、小、中、高、大と陸上をしていたし
中学からは、強豪のチームでエースもしていたくらい体育会系だ。

ついこの間まで現役だったものだからおいて行かれることはないのだけれど、余裕と云う程でもない。

そして、ずいぶんと走り続けてやっと男が止まった。

?「ここまでくれば大丈夫だろうな。」

「ハァハァ。ありがと。」

?「いや、しかしお前良く走れたな」

「夜目は効くんで」

?「そうか。名前くらい教えろ。」

なんだ、唐突に。

「白石 千都世」

?「チトセ?めづらしいイントネーションの名前だな。」

「すみませんね。あなたも名前と顔くらい見せなさいよ。」

?「それが、命の恩人に向けての態度か?仕方ないな。俺は、
 シエム=ルバージュ・アロン。さっきも行ったがただの旅人だ。」

「シエム=ルバージュ・アロン。覚えた。
さっきはありがとう。」

シ「いや、別に構わない。そして、お前になぜあのようなところにいたのか教えてもらわないとな」

「……………なんで?」

シ「俺は、お前の命の恩人だからな。」