「うわ、翔平! 何してんのよ」

翔平がいつのまにか横にいた。
全然気づかなかった・・・


「まりあこそ立ち聞きしてるじゃん」

まぁ、その通りだけど。

「翔平、小宮さん知ってるの?」

「話したことないけど、可愛い子はチェックしてるよん」

翔平はへらへら笑って、そう言った。

「可愛いよね、小宮さん」

「いや、お前が言うと嫌味にしかなんねぇから。
また女子に嫌われるぞ」

「高村も小宮さんみたいな子が好きなのかな」

「さぁな。 高村の好みは俺もさっぱりわからん」

「でも、お似合いだよね」

そうなんだよね。

さっき2人が並んでた姿、なんだかお似合いだった。

私と高村より、ずっとカップルっぽかった。

「まぁ、真面目そうなもの同士って感じ?」

高村、クラスの男子に聞かれた時は適当に流してたのに小宮さんには事情を説明しようとしてた。

私と付き合ってるって誤解されたくないって事だよね・・・

「まりあ?」

「私、もう行かなきゃ 」

そう翔平に伝えて、走って逃げ出した。


だからその後の、

二人の会話は聞こえなかった。


「立ち聞きはよくないよ、三浦」

翔平の後ろ姿に高村が声をかける。

「お前も今の会話聞いてただろ。
お互いさま」

「だって、三浦も天野も立ってるだけで目立つから」

「お前さぁ、善良そうな顔して中身は鬼だな」

高村は善良そうな顔で笑った。

「三浦は見かけによらず、超お人好しだよね」

「うるせーよ」