高村と翔平は真逆のタイプなのに、なぜか親しくしている。

中3で同じクラスになって意気投合したらしい。
二人とも超マイペースだから、気が合うのかな?


いっつも一人で平気って顔で特別誰とも親しくしなかった(もちろん私とも)高村が、翔平には気を許してるみたい。

私にもあんな風に笑ってくれればいいのにな。


キーンコーンカーンコーンー

5限が始まるベルが鳴って、生徒達がざわざわと動き出す。

翔平が帰り際に私に声をかけた。

「あ、まりあ」

「なに?」

「最近、3年の八木さんに迫られてるってほんと? 」

サッカー部の何とか先輩は覚えてないけど、八木って人はわかる。

最近しつこく付きまとってくる人だ。
バカ丸出しって感じで、全然好みじゃない。

「あの人、色々よくない噂聞くからさ。
うっかり怒らせたりしないようにな」

翔平が珍しく真剣な顔で忠告してくる。

「私は最初から丁寧にお断りしてるわよ。向こうがしつこく絡んでくるだけで」

「だから、そういうのを本人の前で言うなよ、絶対」

「はいはい、気をつけマス」