「高村くん、好きなの。よかったら、私と付き合わない?」

「なに、いきなり?」


「もうっ、鈍いなぁ。
だから、私の彼氏になってもいいよって言ってるの」

「・・・ならないよ。 じゃあ、急いでるから」

「は!? 何言ってるの?
私みたいな可愛い子があんたみたいな地味な男子に告白してあげてるのに」

「僕、天野さんのこと可愛いって思ったことないし。それじゃあね」


高村の呆れた顔と冷たい声を昨日のことのように思い出せる。

そう、あれは小学校6年生の秋のことだった。