俺らを、命よりも大切な存在だと思ってくれているのは嬉しい。



だけどそれじゃあ、いつか必ず人を庇って命を落とす。



向日葵にとってはどうでもいいかもしれない。



だが、少なくとも俺にとってはどうでもいい存在じゃないんだ。



向日葵「………ねぇ、お願いきいて…、?」



今度はどんなことを言うのか。と心構えしていると、向日葵は顔を上げて、上目遣いで俺をみた。



琥珀「……どんな?」



向日葵の"お願い"なんて、初めてだ。



向日葵「……僕を、抱いてください。」



……………。



静まっている部屋に、向日葵の弱々しい言葉が消えた。



琥珀「…なに、いってんだよ……、?」



衝撃的な向日葵の言葉は、空耳だと思いたかった。



向日葵「…………僕を、抱いて…、、??」



じーっと俺を見上げる瞳は、冗談を言っているようには見えなかった。



…それじゃあ、本気で言ってんのかよ、??



琥珀「……なんで俺に…、?」



2度も聞いたら、嘘だとはまるで思えず、動揺で震える声を抑えながら聞き返す。



向日葵「…琥珀がいい。」



琥珀「っ…!!
抱いて欲しいなら、星藍に頼めばいいだろッ…!?」



星藍は、お前の彼氏なんだから!



2人きりの部屋に、俺の大声が響き渡る。



頭の隅で、防音でよかった。とまたくだらない事を思う。