咄嗟に詰め寄るように問いかけた志の言葉に、医師は真剣な表情で返答した。
医師「…危険な所まで行きましたが、何とか持ち堪えてくれました。」
その答えを聞いて、俺たちは一斉に安堵の息を吐いた。
けれど、医師の話は終わっていなかった。
医師「ですが、このままだと危険です。」
飛鳥「どういう意味、ですか、?」
医師「このままだと、今日みたいなことを繰り返し、いずれは最悪の事態になる可能性があります。」
最悪の事態…それは、言われなくてもわかった。
志「なら、今回こうなった原因はなんなんですか!?」
原因がわからなければ、次回の対処のしようもない。
医師「…原因は不明です。今、我々もその原因を探っています。ですが…恐らく原因を見つけることは困難でしょう」
雷「それじゃあ対処のしようがねぇじゃねぇかよ!」
今にも掴みかかりそうな勢いで言葉を放った雷を隣の俺が食い止める。
喧嘩では雷は俺に敵わないから、雷は悔しそうに大人しく留まった。
医師「…えぇ。恐らく今日みたいな状態は、彼が眠っている間は何度も起こるでしょう。
ですので、永くは放って置けません」
志「…なら、どうしたら?」
遠まわしにいう医師に志は眉を歪ませ、冷たい声で言った。
医師「……龍神さんは、もって5年です。
このまま昏睡状態が5年続いたら、いつどうなってもおかしくありません。
最悪の場合も頭に入れておいてください」
「「「ッッッ、」」」
5年、最悪の場合、と悪い言葉ばかりが続く医師の言葉に他の3人が息を呑んだ。
では、失礼します。と去っていった医師のことすら見ていなかっただろう。
それくらい、3人にとっては衝撃だったらしい。
対して俺は、何処か他人事のようにその言葉を理解し、のみこんでいた。
??「ココ!!雷、京、飛鳥!」
??「葵絆は?」
他の3人がボスッと力抜けたようにすぐ後ろにへたりこんだのと同時に、2人分の声と足音が近づいてきた。
京「タツさん…円……どうして?」
辰巳「仕事の途中で志から連絡来てな。
終わらせて来たんだ」
円「それより、ココ、葵絆は?」
はあっ、と大きく息を吐き呼吸を整えた2人は未だに下を向く志に問いかける。
志は顔はそのまま震える声で、さっき言われたことをそのまま2人に伝える。