--ダダダダダダッ
看「院内は走らないでくださいっ!」
病院につき、俺たちは迷い無く、ここ10日間ずっとかよった葵絆の病室へと走った。
途中、何人もの看護師に怒られたが、そんなの一々気にしている余裕がなかった。
ただ、葵絆のことだけで頭がいっぱいだった。
雷「!志っ!!!!」
角を曲がってようやく葵絆の病室が見えたと思ったら、いきなり雷が志の名を呼んだ。
少し目を細めると、葵絆の病室の前にある長椅子に志が項垂れるように座っていた。
思わず張り上げた雷の声でようやく少し顔を上げた。
それと同時に、俺たちは肩で息をしながら葵絆の病室を勢いよく開けた。
「「「ッッッ!!!!」」」
中の様子を見て、俺たちは絶句した。
…中には何人もの人がいて、眠る葵絆を取り囲んでいた。
葵絆につけられているベッドサイドモニタの心電図の数値は、どんどんと下がっていっている。
京「き…ず、な…………」
寝顔は今朝と全く変わっていないのに、葵絆の身体は、臓器は、死へと近づいていた。
扉を開けるだけ開けてそのまま廊下側に突っ立っていた俺たちは、中から出てきた器具を持った人に追い出されるように退かされた。
雷「な、んで……っ!なんでこんなことになってんだよっ!!志!」
俺たちから目を逸らす志の胸倉を雷がつかみ取り、怒鳴った。
志は、ここ数日で何度も見た、どこか諦めたような、そんな表情をしていた。
志「……俺が聞きてぇくらいだよ………、」
雷「志…」
数日間でやつれた顔、掠れる小さな声、誰が見ても志はかなり参っていた。
そんな志に影響されて、俺たちはストンと病室の向かい側の長椅子に大人しく座った。
……そうして、どのくらいが経っただろう。
待っている間、何度も扉が開き、チラチラと中の様子が見えた。
AED??とかいう機械で葵絆の心臓を動かそうとしていたり、いくつもの点滴や注射器が中へ入れられていたり、
俺にとっては異次元のようなことばかりをしていた。
そんな様子を見る度にドクンドクンと俺の心臓が鳴り響く。
それでも、何もせずに、ただただ治療が終わるのを待った。
そしてようやく…
ガーッ
バッッ
志「葵絆はっ!?」
今までとは違く、ゆっくりと開いた扉に反応して思い切り立ち上がった。
予想通り出てきたのは葵絆の担当医である医師。