雷「…なぁ、あいつは誰なんだよ…!
なんでお前を狙ってるんだよっ!!」
そんな百桃に対し、雷は抑えようと必死で怒りを呑み込んでいる。
百桃を責めないよう、言ってくれるように、雷は言葉を選んで真っ直ぐに百桃を見つめる。
京「百桃っ……、あいつが、また、狙いに来たら…俺たちは対処しなきゃならないんだ……」
飛鳥「…お前が言わないと、誰もわからないんだよ…っ!」
百桃「……ごめ、、さぃ」
俺らが必死で訴えかけても、百桃の心に響かない。
それどころか、百桃は俺たちに怯えているようにさえ見える。
…いや、実際に怯えていたのかもしれない。
でも、その時の俺たちにはそれを確認する余裕さえなかったんだ。
雷「っあいつは!誰なんだよッ!?
あいつに、葵絆が撃たれたんだぞ!!俺たちにだって知る権利はあるだろ!」
飛鳥「…葵絆はお前を助けたから、!
なのにお前は理由も言えないのかよっ!?」
京「なぁ!百桃!!教えろよっ
お前はこのままでいいのかよ!!」
冷静になれなかった。
表面上では冷静さを貫いていたが、心は周りに引っ張られる。
落ち着こう落ち着こう思っても、どんどんと頭が熱くなっていってしまう。
……だから、冷静になった頃には遅かったんだ。
百桃「…ごめんなさい…っ…!」
百桃は、何度も何度も頭を下げて、こんな俺たちに謝り続けていた。
…そんな中、俺たちの止まらない言葉にストップをかけたのは電話の着信音だった。
♪~♪♪~♪♪~♪
買った当時から変えていない機械的なメロディは、雷だけだ。
--ピッ
雷「なんだよ!」
電話に出て早々、相手に怒鳴り散らす雷。
まぁ、それも仕方がない。
これだけヒートアップしといて、不機嫌じゃないはずない。
実際、この時の俺だってかなり苛立っていた。
…雷のあの言葉を聞くまでは。
雷「……は、?葵絆が…??」
「「(ピクッ)」」
今までの怒りを全て忘れたかのような雷の声を聴いて、俺たちもやっと我に返った気がした。
雷「……、っ!……………」
カタンッ--
京「…ら、い、?」
一瞬息を呑んだかと思えば、今度は放心状態になり、そのまま手から携帯を落とした。