…あーあ、久々に怒鳴ったな。



元々軽くキレることはあっても、本気でキレることはなかったしな。



多分中学ぶりくらい?だな。



久々すぎて自分でも何言ってるかわかんなかったが、ヒートアップしていた2人には効いたらしい。



2人ともお互いの服から手を離し、元の位置に座った。



オドオドとした怯えた目で見てくる他の目から逃げるように俺も元の席に座った。



俺が怒鳴ったせいで……ってか、元はといえば揉めた2人のせいだが……自然と重い沈黙に包まれる。



だが、まだイライラし続ける俺はすぐにそれを壊して話を進めた。



雷「で?俺らが百桃のことを隠していたのがお前らは気に食わないって??」



「「「「「……(コクッ)」」」」」



若干怯えた目を向けられるが全て無視し、じーっとカエたちの目を見つめた。



怯えながらもしっかりと頷いたのを確認してから今度は葵絆に話を回す。



雷「で?お前はなんで百桃のことを隠すことにしたんだったか??」



俺が言うより、条件を出した葵絆本人から聞いた方がカエたちは納得する。



そう思ったから説明は全て葵絆に任せ、俺は仲介役をすることにした。



葵絆「…百桃は智軌が事故った車に希輝と一緒に乗ってた。だから当然、希輝と同じ……いや、それ以上に心に傷を負った。

智軌が俺たちに百桃の存在を隠してきたのは何か理由があってのことだと思う。
でも、智軌がいない今になっては俺たちには何もわからない。

だからそれを知りたい、っていうのも勿論あるけど……



一番の理由は、百桃が感情を押し殺したり、本当の愛情を知らなかったり、自己評価が低かったり……

とにかく!普通の"子供"っぽさが全くないし、むしろ"大人"っぽいし。


百桃には謎が多すぎる。




百桃の謎も、闇も、俺には届かないくらい深そうだけど、あくまで百桃は"子供"なんだ。

頭はよくても、精神面では希輝よりも幼い。


……だからあいつを放って置けない。」



葵絆の言うことは本当にもっともで、百桃には沢山の謎がありすぎる。



何をやっても"自分が悪い"。



素直に喜怒哀楽を"表に出さない"。



いつも"怯えを含んでる"。



普通の子供ではない、ということは既にわかってる。



……でもそれは、俺たちが勝手に思ってる"私情"だ。



葵絆「…あくまでもこれは俺たちの私情だから、私情に楓たちまで巻き込むわけにはいかなかった。」



別にカエたちが反対するとは思っていない。