下「…で、なんなの?雷にいきなり呼ばれて来てみれば、なんか子供いるし。
ちゃんと説明、あるんだよね?」



俺が連れてきた数人の中の1人が、珍しく怒ったような顔で俯く俺たちを見る。



未だにどうすればいいのかわからない俺たちは俯いたまま、ただどうしようかと考える。



そんな中でも、やっぱり始めに口を開いたのは百桃だった。



百桃「……ごめんなさい。」



楓「…なにがですか?別に君がいることはいいんですよ。ただ、君は誰なのかということを聞いてるんです。
葵絆たちも知ってるんでしょう??
仲間なら隠さないでちゃんと話してくださいよっ!!」



今俺たちに、百桃に怒っているこの男、楓(カエデ)は中2だけどしっかりしてて、下っ端の中でも一番喧嘩が強い。



カエは青星一仲間を凄く大事に想ってるからこそ、隠し事をしていた俺たちが許せない。



頭のいい奴だから適当なことを言っても認めないだろう。



…葵絆の条件を破ることになるけどここは正直に言うしかない。



そう思って顔を上げようとした瞬間、また俺たちの代わりに喋りだしたのは百桃だった。



百桃「はじめまして。虹羽百桃、4さいです
初代総長虹羽辰巳のまごで、三代目総長虹羽智軌のむすめです。

あなたたちがしらないのはとうぜんです。ぼくは智軌さんのほんとうのむすめじゃありません。」



真剣にカエたちの目を見つめて話す百桃は今までにないくらい苦しそうで、止めたくなった。



…でもそれは出来ない。



だって、百桃はカエたちに認めてもらおうと必死で訴えかけているから。



俺なんかが口を挟むことは出来なかった。



百桃「みとめてください、とはいいません。とつぜんいって、みとめられるわけがないから。


……だから、みとめなくていい。
きらってもいいから、ぼくがここにいることをゆるしてください。




うまれてはじめて"なかま"を、ほんとうの"あいじょう"を、しったんです。
きーちゃんたちがおしえてくれたんです。

…うしないたくない。」



おねがいします。ゆるしてください。と、ただただ戸惑うカエたちに百桃は頭を下げた。



そんな姿の百桃がいつもより更に脆くみえて、流石に止めようと百桃の腕を掴んだ。



……その時、



葵絆「京。百桃と部屋戻ってろ」



葵絆がいつもより低い声色で京に'命令'した。



京「っ!ぁ、あぁ。わかった」



いつもと違う葵絆の雰囲気は、"ある時"しか出さない空気だとわかった俺たちも、京も、反論一つせずに'命令'に従った。



ーーバタンッ