「……おい。隠れてねぇで出てこい。」



……スッ



弾は奴の下から上の方、肩へと撃たれたのを俺は見逃さなかった。



つまり、撃った相手は奴より身長がかなり低いか、しゃがんで撃ったとしか考えられねぇってことだ。



だが、俺の前に現れたそいつは…



「!?まさか、てめぇが撃ったのか…?」



「……(コクリ)」



何も感じ取れない無表情で、酷く冷淡な真っ赤な瞳で俺を見つめる金髪の餓鬼だった。



その餓鬼の小さな手には、硬く黒いブツが握られていた。



「…けが、してない……、?」



ペタペタと近づいてくる餓鬼をよく観察すると、餓鬼は裸足で歩いていた。



裸足の餓鬼は何処を歩いてきたのか、歩いた後の足跡には血が点々と付いていた。



「…おい、ちょっと来い」



血が地面に付いているっつーことは、足の裏を怪我してるってことだ。



なのにこの餓鬼は痛がりもせず、ただ俺の方をじっと見ているだけだった。



放っておけばいい、無視しておけば良かったのに、。



この時の俺はどうかしてた。



「…座れ。」



人一人いない街灯が1、2個しかない小さな公園のベンチに、引っ張ってきた餓鬼を座らせた。



「…足出せ。」



「……ぇ、、?」



「さっさとしろ」



俺をじっと見つめる餓鬼は恐る恐る片足を上げた。



俺は餓鬼の目の前にしゃがみ、途中の自販機で買った水を開けて思ったより血だらけだった足にドバドバと掛けた。



ある程度血が流れたところでハンカチで水を拭い、傷口にガーゼを付け、包帯を巻く。



そこでふと、餓鬼の年齢に合わない不釣り合いなデザインのアンクレットが目についた。



そこで俺はただ何となく、問いかけた。



「これ、取らねぇのかよ」



だがそれは訊くべきではなかった、とあいつの顔が曇ったのに気づいて思った。



餓鬼の小さな答えと共にどちらともなく口を噤む。