「…今まで通り生きればよかったじゃん!!
今までみたいに表で!犯罪者になる必要なんてっ!!」



「それが無理だから、向日葵についてきたんだ。」



「っ!?え、」



今まで表で生きてきたなら、そのまま生きれば。



そう思って言ったのに、2人は真剣な顔つきで否定した。



「む、無理って…どうゆうこと……?」



「俺たちは1ヶ月前以前のことを何も覚えていないんだ。」



「…へ?」



「つまり、記憶喪失ってわけ。
昔に関わりがあったらしい向日葵たちしか俺にはいない。陽向も一緒だ
親はもう既に死んでるって聞いてるし、親戚類も居ないから頼る人は向日葵だけなんだ。」



普通なら、何の拍子もないこの言葉を信じることはなかった。



けど、基本嘘をつかないこの2人が、冗談でこんな拍子もないことを言うわけがなかった。



「…言い方が悪かったな。ごめん。」



「…俺たちは向日葵が殺し屋になるって聞いて、無理矢理ついてきただけなんだ。
向日葵はそれを断らなかったけどいい顔はしなかった。
だから俺たちはその代わりに、何も聞かないことにしたんだ。」



記憶についても、これから何をするのかについても。と2人とも苦笑いする。



「じゃあ、何も知らないってゆうのは、、」



「そ。何も聞いてないから、何も知らない。それだけなんだ。
だからそれが知りたいなら直接向日葵に聞いて。」



じゃ。と2人は私から離れて再び訓練をし出した。



…そして私はすぐにその夜、ひまちゃんに聞きに行った。



「ひまちゃん。」



隠しテラスでぼんやりと星空を眺めていたひまちゃんに背後から声を掛けた。



「…琳。何?」



一応気配を消して近づいたのに、吃驚もせず、振り返ることもせず私に応えた。