星藍「それに……
ひまは俺の恩人だから、助けたかったんだ。」



騎士「…………、」



確かに、当時荒れていた星を救ったのは向日葵だ。



…俺だって、俺の味方をしてくれた向日葵を恩人だとは思ってる。



騎士「お前は充分向日葵を救っただろ。」



星藍「は?俺はまだ何も…!」



騎士「お前が気づいてねぇだけだ。
あいつはお前が思ってる以上に救われてた。

あいつが死のうとした時、あいつが泣きそうな時、傍に居たのはお前だろ。
確かに恋愛対象では見てなかったかもしれねぇが、向日葵はお前を自分の"大切な奴"と思ってる。

だから翠さんや志じゃなく、お前に手紙が残ってたんだろ」



星藍「!?それも気づいてたのかよ!?
はあ……。騎士には向日葵よりも嘘がつけねぇなぁ……、」



苦笑いで返す星に当たり前だろ。と即答する。



お前が俺に隠し事なんざ百年早いんだよ。



バレてないとでも思ってたのか、この馬鹿は。



…あの時は誰も気づいてなかったからつっこまなかったが、星がここに居たのには俺たちとは別の理由があった。



組宛と星宛に、向日葵からの手紙が二通残っていたからだ。



…なんでそれがわかるか。っていうのは、俺宛にも一通別のがあったからだ。



……俺の手紙には、



『星をよろしく。』



と、一言だけ書いてあった。



騎士「で?その手紙にはなんて書いてあったんだ??」



星藍「あー……。別に、」



騎士「今更まだ誤魔化す気か」



星藍「あぁもう。わかったって、これだ。」



誤魔化せないと思ったのか、ため息をつき、スーツの内ポケットから取り出した黒い封筒を俺に渡した。



既に開封してあるその封筒から黒い紙を出して広げる。