…俺は、わかる気がした。



響「"歩"は、よく言ってたんだ。

『友達が出来たんだ!かなちゃんっていってね、一緒にいると楽しいんだよ!!!!』

だから、あの時も…
『…かなちゃんと離れたくない!ひびき!!僕やだよ!!』
母親と父親がいない場所で、"歩"はそう言って泣いたんだ。」



彼方「!!…ひびが、?」



……俺も、あの時選択肢があったら、



響「初めてだったんだ、"歩"が自分のこと以外で泣いたの。

…それだけで、幼ながら俺はどうにか"歩"がそのままで居られるように考えたんだ。
……最初で最後の"歩"への兄としての考えだったんだ。」



"歩"と同じ選択をしていたかな。



葉亮「……だから、入れ替わることを考えついたのか…?」



響「ああ。それしか思いつかなかった。


けど、それには大きなリスクがあったんだ

…それは、俺と"歩"の性格は真反対とも言えるくらいの性格だということだ。

俺は無口で人見知りだったから、1人が好きだった。
けど、"歩"はテンションが高くて、人懐っこくて、誰かといるのが好きだったんだ。」



凪「見事に正反対だな…」



思わず、といったようにポツリと口に出した凪は慌てて口を噤んだ。