電話口から泣き声が聞こえた気がした。
「柊...」
『かっこつけたことばっかり言って、ごめん。
雫の事諦めるなんて強そうなこと言って、ホントは...
全然諦めらんねぇんだよ!!』
「ねぇ、柊?
ほんとに弱いのは私だよ。
柊は、私なんかよりずっと、ずっと強いよ。
私はただみっともなく、陸にずっとしがみついてるんだよ...。」
喉の奥が、かすかに震えた。
「私は、何年もずっと陸を解放させてあげられてない。
私のせいで、陸は...
きっと....」
ふいに波音の瞳から透き通る雫が零れ落ちた。
「わか、って、る、のに....
ヒック
」
一度こぼれだした雫はとまる事さえ知らずに流れ落ちていく。