「僕は、雫ちゃんの気持ちは分からないよ。」

そう想ったとたん、またしても先生に見透かされてしまった。




「雫は...



雫はたぶん...


自分で言うのはおかしいけれど、俺のことが好きです。」


先生、そして俺はどうしたらいいのかわからない。



心の中で付け足した。




「波音ちゃんもだよね。」



宮里先生が微笑む。





「選ぶのは、陸君だよ。」


優しい声音で俺の心臓に話しかける。



「選ばない手もある。

選べないときもある。


でも、皆つらいんだよ。



どうする事もできなかったら僕に相談すればいぃ。」




心が温かい。


どうしようもなく寂しくなった気がする。



「俺、皆幸せでいたかった....」



ポツリとつぶやいた。