「宮里診療所」

と古い看板が立てかけてある木造の診療所は、昔陸と波音のお気に入りだった場所だ。



今は用もない限り全く近づかないが、2人で、中にある薬の名前をみて遊ぶのが好きだった。



診療所の古い引き戸を開けながら、ふと想い出した。





「よっ...と」



背中におぶった雫を診療所のベッドに寝かせる。



「宮里先生は...っと


今、出張診療してるのかな。」





そう。この島では大きな病院はない。


でも高年齢者が多いため、割と暇になる昼ごろは出張診療にまわっているのだ。