ガチャッ

「只今帰りました」

「あら、帰って来なくても良いのよ」

静まりかえっている広々とした家には私の声も母親の嫌みもよく響く。

毎日毎日言われ続けたからこんな言葉は慣れっこだ。毎日毎日同じ様なことを言われてきたんだから。
今日やりたいことは決まっている。
【夢幻の館】について調べるのだ。

私の部屋は二階の洋室だ。

いつまでも静かな家のなかを足音をたて階段をのぼる。

私の部屋にあるPC。いつも調べものには相方になるものだ。これは父親からの譲り受けのお古。父親が使っていたからか?たまにくるPCメールには大人のサイトからのものもある。
一度開いて動画を見たとき恥ずかしくなって部屋に入れなくなったことがある。

カチャカチャッ

調べたところ夢幻の館には入る条件があるらしい。
それはとても厳しいもので科学者の性格が現れている。
しかも失敗すると【失望の塔】というところに飛ばされるらしい。

どちらも私の心をくすぐる内容だ。
もう少し詳しく調べてみよう。