「(あ~ん~た~ってヤツはぁ~~!)」



ヤツを掴み取り、小声で睨み付ける。



「し、仕方ねぇーじゃん……! 生理現象だろう」

苦しそうな表情で手足をバタバタさせて訴える。





「ねー、なんか変な声しなかった?」




カナの声に、ハッとしてあたしは手の力を緩めた。





ヤバい。ヤバい。





今、この状況で遭遇したら言い訳のしようがないよ。





「……仕方ないよ。莉音にだって、都合があるんだろうし……。それに、もしあたし達のグループから抜けたいんなら……。ねぇ……?」



どうやら、姫梨ちゃんの発言してくれたおかげであたしの奇声はスルーされた。





でも、いつもの姫梨ちゃんの可愛い声とは思えないくらい低くて、怖い声。






サヤ達も、普段の姫梨ちゃんからは想像もつかないのか何のリアクションもない。







ほんの数秒間、沈黙が広がった。