「ねー、姫梨ちゃん莉音帰らせて良かったの?」
「ていうかさ、最近の莉音なーんか、付き合い悪いよね? 夏休み中も体調悪いって理由で断ってたし」
「そーだよね、あとさぁ~、磯野のふでばこ! 莉音あれ、絶対拾おうとしてたよね! うちらが見てるのに、気付いたから蹴り飛ばしたんだよ!」
へっ??? バレてる??????
ドア一枚を隔て歩いてるからすごく近くに感じる。
やばい、すごく緊張感する……。心臓はすっごい早さで動いてる。
今は絶対、物音を立てちゃダメだ。
あたしは、口をぎゅうっと強く噛んだ。
「ヘッッッッ……、ヘックチッッ!!」
「ひぃぃぃぃっっ!!!!!」
あたしが固い決意をしたすぐその後に、あのバカはデカいくしゃみをぶちかます。
あまりの音のデカさに、あたしは声を出してしまった。