「ん? なんだ? こいつ良い奴なのか?」
さすがに、あのバカも戸惑っている。
「……あ、うん……。ありがと。また誘ってね」
あたしは、姫梨ちゃん達にそう言って教室を出た。
◇◇◇◇◇◇◇
「ハァ……」
あのまま帰る気になれなくて空き教室に逃げ込んだあたし。
ドアを閉めて、その場に崩れるように座り込む。
「なー、莉音。あのキリって女いい奴なのか、やな奴なのかワケ分からねぇーな?」
「そーだね、あたしもそう思った……」
まぁ、もともと姫梨ちゃんの事をよく知らない。
あたしが知ってる事と言えば姫梨ちゃんは、美人でモデルしてて、学校中の人気者でこの学校の理事長の娘。
あ、さっきカナだっけピアノが上手いって言ってたっけ?
それくらい。