「お邪魔します」


小声で言って靴を脱いだ。


2LDKの綺麗な部屋。


「海の中みたい……」


呟いた言葉に「案外ロマンチストなんだな」と学が笑った。


閉めきっている群青色のカーテン。
大きな水槽にはライトが照らされ、一匹の魚が泳いでいた。


「なんて魚?」

「スマトラ・ゴールデン別名、紅尾金龍」

「何それ」

「アロアナだよ。古代魚で中国では龍魚ってよばれてて、縁起が良いんだとよ」

「ふ~ん。綺麗な色だね」

「アロアナは赤いのもいればゴールドもいるし……興味あんのか?」


学は丁寧に説明しながら、テーブルの上にポケットの中身を全部出して置いた。