獅朗は学が話しているのに、俯いて動けない私をジッと見ている。


「おい。三条。久辺がこれじゃー話にならねーんだけど」


嵐は「悪いな」と言って獅朗に何か耳打ちをした。
それは魔法の言葉なのか獅朗は嵐に視線を向け話し出す。


「椿を使ったのは最終手段だ」

「椿?」

「あぁ、椿は椿だろう」

「そっ、椿ね。まっ、良いよ。椿」


学が私を呼ぶ。
固まって動けない私は視線だけ学に送る。


「椿が決めろ。どうする?」


どうするも何もない。
答えは決まっている。

暇潰しと誘ったのは学だけど、これは私のことだ。


「場所、変える。あの街ではしない」

「……だとよ。久辺」