人懐っこい学に無愛想な私。
正反対だけど学と一緒に居ると安心出来た。
だからって学を信用していた訳じゃない。

あの時の男のように、いつ代わるかもしれない。
心の片隅にはいつもそう思っていた。

だんだん学と一緒に居れば、隠しきれないことが出てくる。

鳴らないスマホ。
帰る場所の曖昧さ。

だけど学からは何も聞いてこない。
私の話にボロが出ても追求して来ない。

興味を持たれていないって言う安心はあった。


「暇潰しに付き合えよ」


そう言い出した学は、この街で生きる術を教えてくれた。
決して良いことじゃない。
胸を張って言えることじゃないけど、私がこの街で生きて行くにはそうするしかなかった。