ヴォンヴォンと学のバイクが爆音を奏でる。
愛しそうな爆音と優しい微笑みだけ残し、無数の光の中へと消えて行った。

目を細め学の姿を探したけど、学の姿はもう私の目には映らなかった。

それから学が教えてくれた場所へ移動した。
どこから情報を仕入れたのか、すでに凄い数のギャラリーがいた。

そのギャラリーの中から学の話が聞こえてくる。
私が知らない学の武勇伝。
どこまで本当の話かは分からないけど、
どの話も学を讃えるものばかり。

自分のことじゃないのに嬉しくなる。
"ありがとう"と手を握りたくなる。

そんなガラにもないことを思ってしまうのは気分が高揚しているせいだと思う。

季節はもう冬。
いつ雪が降ってもおかしくないくらいの寒さ。
マフラーから出ている肌に冷たい空気が触れる。

だけどそんなのは気にならないくらいの高揚……――