私は痛む首を押さえながら、
上半身を起こす。
横では松田君がすっくと
立ちあがるところだった。
「ごめんなさい」
私は心から謝った。
..生きててよかった。
人が死ぬところなんて...。
見たくない。
「...おい。お前、...寺坂か?」
え???
そうですけど。
不思議に思って松田君を見上げると
口をあんぐり開けて
私の顔を穴が開くほど見つめていた。
「....美人..じゃん」
.......。
数秒後になってようやく気付く。
ちょっと待って。
私、マスクしてる?
メガネは?
まえが....み...は?
「見ないで!!」
私は顔を両手で隠して後ろを向く。
手についた泥が口に入るけど、
そんなことどうでもいい。
「..........」
「..........」
居心地の悪い沈黙が続く。
....私、顔を!!!