「着いったぁぁぁ~~~!!」
誰かが大声で叫んだ。
そう。
今日は待ちに待った(?)
林間学校の日。
バスで田舎の道を延々と走り、
やっと林間学校が行われる場所に
着いたところだ。
「俺もうすぐで酔うところだったわ」
「え。俺酔った」
松田君と同じ2班の男子、多賀君が
そんな会話をしながらバスを降りていく。
私はその後に続いてバスを降りた。
瞬間、田舎のきれいな空気が
スッと胸を通り過ぎていく。
「...気持ちいい」
思わずつぶやいてしまって、
私は周りを確認する。
良かった。
誰も聞いてなかったみたい。
私みたいな普段暗い人が、
急に独り言を言うのを聞いたら
ビックリするもんね。
私が嫌われるために
他の人をビックリさせる必要はない。