優太くんは、來成の実の兄で今は龍たちと住んでいる。

「お母さんが亡くなって弟は奪われ、しかも虐待されて。」

「でも龍とはちょっと違う。」

來成は机に座りうつむきがちに呟いた。

「龍と優太くんは違うよ。」

「どうして?」

愛花は不思議そうに首をかしげた。

「お母さんに愛されてない、龍は。身近で親に愛されてない。」

「だから、龍はテストは白紙で出したんだ。泣いたって誰もきてくれない、それを経験してる龍はそれしか頭になくて手を差し伸べるという選択はなかったんだ。」

「そっか。それだ。龍には誰も手を差し伸べられてないから自分も差し伸べないんだ。海斗だったらずっと近くにいたからどうしたらいいかが分かるんだ。」

皆は納得した。

「どうしたら差し伸べること身に付けられるだろ。」

私はそう疑問になった。

「龍が女子にこくられても付き合わない理由もそれに繋がるかも。」

信也は私に向かってそう言った。

「なによ。」

信也は、なにも、と言い少し笑った。