「まっ、待って!行くなら私も行く!」
千尋ひとりじゃ心配すぎる!

゚・*:.。❁

そういう訳で…

「「此処で働かせて下さい!!!」」

と、千尋と二人で叫びまくる事に…。

「千の隣のお前、名はなんと言う?」
白い髪を結ったおばあちゃん(きっと此処のお湯屋で一番偉いんだろうなぁ)に聞かれた。

「星野…星野姫架です。」
ニッコリと笑顔で答える。

「姫架…いい名だね。」
そういうとおばあちゃんは古っぽい紙を渡した。

『契約書』

はいはいこういうやつね。
名前を書いたらいいんだよね?

千尋の方を見ると、「荻野千尋」と綺麗な文字を契約書に書き込んでいた。

契約書に名前を記入してそれをおばあちゃんに渡すとおばあちゃんは、
「あたしの事は湯婆婆様とお呼び。」
湯婆婆…。
「それと、今日から姫架、お前の名は『姫』だ。」
ひっ姫!!?

「解ったかい姫。」
その苛立った声に「ひゃい!!」と返事をする。
(噛んだ…。)

「さあ、用が済んだらさっさとこの部屋から出な出な。
だいたいの仕事内容は千、お前が覚えているだろう?姫に教えておやり。」

「わかりました。失礼します。」
千尋はそう言うと広い部屋から出て、部屋よりも広い廊下を迷うことなく歩き始めた。

(すごいなぁ千尋は…。)