「…何故、その仕事を姫に?」
ハク様が、怒っている。
それはとても恐ろしく険しい表情だ。

「姫は客から評判が良くてね。早く大湯女にしろって煩いんだよ。」
湯婆婆はケラケラと笑うと、その後急に真顔になった。

「それとも、なんだい?代わりの湯女でも差し出してくれるのかい?」
それはまるで『千』の事を言っている様にも聞き取れた。

「ッ!湯婆婆様!いい加減に…「いいよ。」…え?」

「私、大湯女になります。」

大湯女がどんな仕事かは、だいたいの予想はついてる。
千にそんなはしたない事、させたくない。

「姫、無理しなくてもいいのだよ!」
ハク様が焦るなんて珍しい。

「私は、大丈夫です「千を…千を代わりに…」は?」

「何言ってんですか!?私はこれでいいと言った筈ですが!?」
ハク様アンタ、何、言ってんの?
千を身代わりにしろって言うの!?

「千ねぇ…。千も姫に続いて人気があるからねぇ。」

この人達、何言って……