「お前の事が好きや!俺と付き合って!」
勢いだけでいきなり言われた言葉に、思わず呆然とした。
目の前にいるのはいつも穏やかな心優しい同期。
どちらかというと可愛い系の男の子なはずで、こんな勢いのある喋り方はしないし、いつもは自分の事を僕と言っているはずなのなに。
「………いきなり、どうしたん?」
何かがおかしい。
「いや、えっとな……」
さっきの勢いはどこへやら。
一瞬にしておどおどしだして目すら合わせない。
「……なんかの冗談?」
周りをぐるっと見渡してみても、誰かが覗いてる気配はないみたい。
「ちゃうよ!」
「じゃあ何?」
「だから!
……だから、好き、やから。」
段々と小さくなっていく声。
でも、息をすっと吸い込んで今度はしっかりと私の目を捉える。
「付き合って欲しいねん。」
その顔はいつもの可愛い顔じゃなくて、頼り甲斐のありそうな男の顔だった。
「……」
それに思わず固まってしまったのは私の方。
クールぶってみたけど、そんなのただの見栄。
本当は気になって仕方がなかった。
「……彼氏、おらんねやろ?
だから、僕がなりたいなぁって……」
そんな表情はやっぱり可愛くて、ずるい。
「えっと……」
「うん。」
「……冗談とかじゃないんよね?」
「うん、前から好きやってん。」
こんな、まっすぐ言われたら私が照れてしまう。
「……あかん?」
「……お願いします。」
「え?」
「え?じゃないよ!」
「え、あ、うん。
……うん?なんて?」
「だから!お願いしますって。」
「マジ?!」
「……」
「うわぁー、めっちゃ嬉しいわぁー!」
浮かぶのは天使みたいな笑顔。
正直、私より可愛いかも。
女として、負けを認めてもいいと思う。
「なぁなぁ」
「……なによ?」
「嬉しいからもっかいやっていい?」
「え?」
「好きやで。付き合ってもらえますか?」
「……はい。」
「やったー!」
これが、私達の関係が変わった瞬間。