しかし相手が相手だけにこの先、一人ではどうにも出来なかったかもしれない。

「丁度良かったってことだな」

 倒れたバイクを起こすベリルを見やり、口の端を吊り上げる。

 泉にとっては、まさに運命的な出会いとなった。

 これだけ興味をそそる奴はそうそういるもんじゃない。

 逃したくはないが、手を出すにはかなりの注意が必要だ。

「準備をしておく。何かあれば連絡を」

「おい、どうやって」

 顔をしかめる泉を一瞥しバックポケットから携帯端末を取り出すと、滑るようにタップした。

「んあ?」

 同じくポケットに仕舞ってあった泉のスマートフォンが着信を震動で伝える。

 見ると、未登録の番号が表示されていた。