「奴を何度か追ったが居所が掴めなくてね」

 巧妙に隠れているために、なかなか捜し出せずにいた。

 多くの人間を敵に回している自覚があってこそのものだが、国際社会が対立していることも、サヴィニオを捕らえられない理由の一つなのは明瞭である。

 表向きは各国で連携をとっているように見えてその実、互いが牽制し合い、出し抜く方法を探している。

 男はそれをよく知っていて、上手く利用し逃れている。

「まあ、俺も本人て訳じゃねえ」

 サヴィニオに近しい人物を見つけ出し、監視させている状態だ。

 いくら同じ系統に属していても、用心深い相手の足取りを追うのは難しい。

 けれども一人で山奥にいる訳ではないかぎり、必ず何かと接触しなければならない。

 今回は相手が爆弾に精通しているという事で、泉は少ない足がかりを見つけ出せた。