世の中は曖昧な部分を内包し共有しながらも、それに対立するかのように存在している。

 今の人類は、そうして成り立つ世界なのだろう。

 かっちりとはめ込まれた枠組みでは、何かがはみ出たときにそこから一気に破れ出てしまう。

「柔軟性」とでも言おうか。

 ベリルからは、まさしくその「世界の縮図」が垣間見えた。

 もちろんそれは、外から見た見解だ。

 ベリル本人の意志とは異なる。

 とはいえ、そんなことは泉の知ったことじゃない。

 目的の獲物に近づけるチャンスを獲得した喜びに、ひとまずの満足感を味わっていた。