「あ? ちょっと待てよ。なんで俺の番号を──!」

 にべもなく走り去るバイクに声を上げたが、止まることなく遠ざかっていった。

 とりつく島もないなと溜息を漏らす。

 泉が「丁度良い」と言ったのには理由がある。

 調べていると、

「潰し屋」という言葉がちょいちょい顔を出した。

 どうやらベリルなる人物は、犯罪組織を潰して回っているらしい。

 よくもやると半ば呆れたものの、それを続けているためかスポンサーが幾つかついているようだ。

 当然、そのスポンサーだかもベリルの正体を知っているだろう。

 知っていて知らない振りをしている。

 多くの人間にとって、ベリルという存在は必要不可欠なものとなっている。

 それが見て取れて、泉はなんだか妙な感覚を覚えた。