ふうっと息を吐いて、腰を伸ばした仲居さんは。


「カエルさん、寝ますか?」


 懲りもせず、オレに再び話しかける。


 だから。

 返事できないんだって。


 あまりにも純粋な姿に、本気で申し訳なく思っていると。


 ん?

 なんだ?

 なんだなんだ?


 近づいてきた仲居さんに抱き起こされた。


 おい。

 おいおいおいおい。

 ちょっと待て。


「眠れなかったら、出てくださいねぇ」


 …………。


 マジか、この人。


 本気でカエル。

 いや、ウケル。



 頭まですっぽり布団をかけられたオレは、

 別に眠くもないのにまっさらな布団に寝かされたわけで。


 いや~。

 何ていうか。


 ま、気持ちいいけど。


「失礼しましたー」


 誰もいない…オレだけがいる部屋のなかに声をかけて、

 仲居さんは仕事に戻っていった。


 どれどれ。

 唯衣と流川が戻ってきたら、きっと騒がしくなるだろうし。


 一眠りするか。