イケナイイケナイ。

 なんて思いながらも、やっぱり気になるじゃない?


 叶わぬ恋ならば。

 せめて相手の顔でも拝んでやらないと納得できないってーの。


 アタシ以上のオンナならいいけど。

 どーしようもないオンナなら、絶対渡さないわ。


 意気込んでついてきちゃったけど。

 アタシの鼻息が荒かったのかしら。


「おい…何してんだよ」

「あっ、見つかっちゃった?」


 薄暗い一本道。

 とあるアパートの前で振り向いたナオちゃんにあっさりみつかるアタシ。


「もしかして、つけてきた?」

「…ごめんなさいね。気になっちゃって」

「ストーカーか」

「そんなんじゃないのよ~。ごめんね~ナオちゃん」


 見つかってしまったら仕方ない。

 ナオちゃんとの距離を縮めてその顔を少しばかり見上げるアタシ。


 あああ…

 薄暗いなか、街灯の灯りに照らされるナオちゃんの整った顔。

 やっぱりイイわぁ。


 ちきしょー!!

 どんなヤツなの!

 こんなステキな男と一緒に住めるオンナって!!

 
「キーーーーっ!!」

「…なに興奮してんだよ」


 呆れるナオちゃんの顔がアタシを覗き込む。

 やめて。

 きっと今、アタシすごいブサイクだわ。

 嫉妬でメタメタの顔だわ。


「店トップのアンタが抜け出してきたりして。何やってんだよ」

「だってだってだって…」


 気になるのよ、ナオちゃんが。

 仕方ないじゃないの。