「この美しい筋肉をただの塊とか抜かしやがったな。来い。どれだけ凄いから試してやる」


『冗談!助けて貴兄!』



慧くんと話し中の貴兄に助けを求めれば、助けてくれたのは慧くんで。


「嵐、凛音ちゃん苛めたらそのダンベル捨てるからな」


余程ダンベルを捨てられたくなかったのか、その一言で大人しく引き下がった嵐ちゃん。


どんだけ筋トレ好きなんだよ。



慧くんにありがとうと目でお礼を言うと、ニッコリ笑い返してくれて。


その隣に居た貴兄も小さく微笑んでくれた。




貴兄はあたしの不安を見抜いていたのかもしれない。


ううん。貴兄だけじゃない。皆もきっと分かってた。


分かってていつも通りに接してくれたんだ。



……皆、ごめんね。


ありがとう。












「オラ、リン坊、俺様の隣に座りやがれ。てか、その声やめろや」



大股を広げて偉そうにソファーにふんぞり返っている嵐ちゃんがニヤニヤしながら手招きしてくる。



「やめろって言うんならリン坊って呼ばないでよね!それに嵐ちゃんの隣なんか行かない!暑苦しいもん!!」


声を元に戻して嵐ちゃんから更に離れる。


見て。あの何か企んでそうな顔。

嫌な予感しかしないんだけど。



「あぁ?テメェ、俺様の抱擁が受けられねぇのか」


「はぁ?あれの何処が抱擁なのよ!殺されるっつーの!!」


手加減ってモン知らないくせによく言えるよね!



「可愛がってやってんのに文句言うとはいい度胸だなぁ」


「可愛がってとか言ってませーん。っていうか何?その変な頭」


毎回思うけどさ。何でそんな変な髪型ばっかする訳?


今回のは特に変なんだけど。