「陽───」
「り……っ、」
陽を呼んだ瞬間、陽の視線があたしの後方を捉え、目を見開いて息を呑んだ。
その表情に嫌な予感がした。
もしかして──
「陽!!」
聞き覚えのある声が公園内に響いて、身体がビクッと揺れ動いた。
「陽!!」
「陽、大丈夫か!?」
──また、再会してしまった。
「お前……?お前か?さっき電話して来た奴は」
もう逢えないと思っていた人達に。
「オイ」
振り返られない。
身体が硬直して全く動かない。
ううん。振り返る勇気がない。
あたしだって気付かれていない今なら走って逃げる事が出来るけど、そうしたくても足が竦んで動かない。
「オイ、何とか言えよ!……って、お前、凛音!?」
「……っ、」
近付いてきた煌に背後から右肩を乱暴に掴まれ、無理矢理振り返らされる。
……あぁ、またこの姿を晒してしまった。
最悪だ。ホント最悪。
「……お前。何でお前が此処に居るんだよ!」
煌の信じられないとでも言いたげなその口調にグッと唇を噛み締める。
なんて応えたらいいのか分からない。
説明しなきゃいけないんだろうけど、会話なんて無理。
だって、唇が震えてまともに喋る事が出来ない。
「陽、どういう事だ?さっき電話してきた男は?」
けど、喋らなきゃいけない。
何も喋らずになんて帰れない。
だから──
『あたしが電話したの』
何もかも、全て話そう。