陽の言葉が頭の中で反芻される。


“俺達がどんなにお前を必死で捜していたか!”


“街中を捜し回り”


“寝る間も惜しんで下の奴等に指示してた”


“十夜は倉庫とお前んちを行ったり来たりしてたよ!”



あたしが、去った後の鳳皇。

あたしの知らない事実。




“俺達の想いはお前が思っている以上に大きい!そんな薄っぺらいもんじゃねーんだよ!”


“お前の兄貴が獅鷹総長だと分かっただけで嫌いになる訳ねーだろ!”


“俺達の絆はそんな簡単に切れるものなのかよ!!”



陽の、熱い想い。


その想いと、知らなかった事実に心が震えた。




皆が必死になって捜してくれた事が嬉しい。


貴兄が獅鷹総長だと知らなかったとは言え、必死に捜してくれたという事がただ単純に嬉しくて。


陽の想いと十夜達の想いが一緒なのかは分からないけど、あの時、十夜達が去っていくあたし達を追いかけてくれたということが嬉しかった。


もう、これ以上は望まない。それだけで十分。


叶わない未来は望まない。

期待すればする程、その分堕ちていくから。



あたし達に“一緒にいる”という未来はない。


獅鷹と鳳皇の溝が埋まらない限りその未来はないんだ。