まだまだ弱いあたしの心。
強くなるなんて無理なんじゃないかと疑いたくなるほど弱くて脆い。
こんな状態で十夜達に逢うなんて絶対に無理だ。
「り──」
「陽、お願い。あたしには耐えられない」
皆に逢うのも十夜のあの瞳に“この姿”が映るのも、もう耐えられないの。
これ以上拒絶されるなんて、あたしには耐えられない。
だから、お願い。手を離して。
「違う!俺達は凛音を嫌ってなんかいない!」
陽。
「それは、陽だけでしょ?」
十夜達は違う。
あの時の表情が何よりの証拠。
別にそれを責めてる訳じゃない。寧ろそれは当たり前の事だと思ってる。
それが“普通”だから。
「違う!凛音は知らないだけだ!
俺達は……俺達はあの時、凛音を追い掛けた。車で去っていくお前を俺達は見えなくなるまで見てたんだよ!!」
「……っ、」
「知らないだろ!?お前が居なくなってから俺達がどんなにお前を必死で捜していたか!
俺と彼方は街中を捜し回り、壱と煌は寝る間も惜しんで下の奴等に指示してた。十夜は倉庫とお前んちを行ったり来たりしてたよ!」
十夜、が……?
「俺達の想いはお前が思っている以上に大きいんだよ!そんな薄っぺらいもんじゃねぇ!
お前の兄貴が獅鷹総長だと分かっただけで嫌いになんかなる訳ねーだろ!俺達の絆はそんな簡単に切れるもんなのかよ!!」
「……っ、陽……」
「なぁ、そうだろ?
だから、だから行くなよ。お願いだから……」
陽の苦痛を帯びた険しい表情が少しずつ少しずつ和らいでいく。
険しさが消え失せたその表情に同調するかの様に、陽の声は語尾に行くにつれて弱々しくなっていった。